映画 『ツナグ』
映画「ツナグ」を観てきました。
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映画化したヒューマンドラマ。
大切な人を亡くした者と死者とを、
一度だけ再会させる仲介人、
「ツナグ」という職業を通じて、
他人の人生に深くかかわっていく
青年の葛藤と成長を描く物語です。
監督:平川雄一朗
~story~
「ツナグ」と呼ばれる使者の見習いをする
高校生・歩美(松坂桃李)。
彼が、仲介するのは・・・、
癌で逝去した母(八千草薫)に会いたいという、
高慢な中年の男(遠藤憲一)
けんかをしたまま事故死した親友・御園(大野いと)に逢って、
尋ねたいことがあるという女子高生・嵐美沙(橋本愛)
7年前に失踪した婚約者(桐谷美玲)を、ずっと待ち続けている、
サラリーマンの土谷(佐藤隆太)。
様々な依頼人の願いを叶える歩美だが、
生者と死者が出会うことで、両者は救われるのだろうかと、
疑問を持ち始める。
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泣けましたよ!
まあ、多分泣けるだろうとは思っていたんですけどね。
原作を読んだばかりだったので、
小説とは違う点が気になりましたが、
全体の印象はそれほど変わっていなかったので、
これはこれで良かったように思います。
小説では、祖母アイ子(樹木希林)が入院中で、
依頼者との初めの打ち合わせ場所は、
病院の中庭という設定でしたが、
映画では、歩美と祖母とは同居していて、
位置合わせ場所は公園だとか・・。
「ツナグ」を引き継ぐという行為だけでなく、
肉親としての祖母との強い絆が、
一層強調されていたように感じました。
邂逅場所であるホテルの、レトロで大時代的な豪華さには、
びっくりしましたけどね。
取り持った死者との邂逅は3回で、
「アイドルの心得」が省かれていたようです。
満月の夜、一晩の邂逅は、
十分語りつくした、という雰囲気ではなく、
朝が来るのが早すぎ!に感じられました。
限られた時間内に全てを盛り込むのは
無理があるのでしょうけどね。
歩美と祖母の会話が、すごく良かったです。
家事を手伝いながら、一緒に鍋をつつき、
ある時は足の弱った祖母に手を貸し、共にベンチに腰掛け、
交わされる会話は、今どきの高校生ながら、
温かさと思いやりに満ちていました。
歩美の将来を思いやる、
大伯父(仲代達矢)も、存在感がありましたね。
私が観に行った日は、
年輩の女性客が多かったのですが、
ハンカチを握りしめ、嗚咽を漏らす人もいました。
両親の「死」の真相を明らかにするよりも、
まだ、生きている祖母のために、
少しでも、心の重荷を減らしてあげようとする、
歩美の、その優しさに泣けました。
心温まるいい映画だった思います。